刑事事件

厚木市の刑事事件動向と逮捕された際の弁護士の役割

厚木市の刑事事件動向と逮捕された際の弁護士の役割

厚木市は、神奈川県のほぼ中央に位置する市です。

この記事では、厚木市の犯罪事情や防犯対策、もしも厚木市で家族や知人が逮捕されてしまったときの対応についてご説明します。

1.厚木警察署管内の刑法犯の件数

厚木市の全体と愛甲郡を管轄するのが神奈川県厚木警察署です。

平成29年には厚木警察署管轄内で合計2.151件の刑法犯が発生しました。月ごとの件数は次のとおりです。

  • 1月 172件
  • 2月 178件
  • 3月 176件
  • 4月 186件
  • 5月 258件
  • 6月 175件
  • 7月 165件
  • 8月 177件
  • 9月 172件
  • 10月 151件
  • 11月 189件
  • 12月 152件

平成29年の数値からは、厚木警察署管轄内では5月に犯罪が発生しやすく、10月に発生件数が減少する傾向が見られます。

5月はゴールデンウィークがあり本厚木駅周辺の繁華街などに多くの人が出かけることが関係しているかもしれません。

2.厚木市の刑法犯の件数

続いて、厚木市内における刑法犯の件数の推移を見ていきます。

(1)厚木市内の刑法犯の合計の推移

  • 平成21年 3,709件
  • 平成22年 3,100件
  • 平成23件 2,883件
  • 平成24年 2,841件
  • 平成25年 2,622件
  • 平成26年 2,394件
  • 平成27年 2,222件
  • 平成28年 2,382件
  • 平成29年 1,903件

まず、刑法犯の合計件数を見ると、平成21年には3,700件を超えていたのが徐々に減少し、平成29年には約半分となっています。

刑法犯の件数の減少は全国的な傾向で、平成8年から14年にかけて7年連続で増加して戦後最悪となりましたが、その後は現在に至るまで徐々に減少しています。

この背景には、警視庁や地方公共団体が連携した犯罪抑止の取り組みや、オートバイの鍵穴を露出させないキーシャッタの開発など防犯技術の普及などがあると考えられます。

厚木市においても防犯カメラや防犯灯を設置するなど、市をあげて犯罪の抑止に取り組んでおり、その成果が出ていることがわかります。

一方で特殊詐欺やサイバー犯罪のような新たな形態の犯罪が増加していることから、全体の件数が減ったからといって油断は許されない状況といえます。

(2)凶悪犯

凶悪犯とは、殺人、強盗、放火、強姦(強制性交等)の罪を犯した者をさします。

厚木市で認知されている凶悪犯は、毎年十数件とほかの犯罪と比べて数は少ないものの、もし被害にあえば生命や身体に甚大な被害を受けることになります。

また、厚木市では刑法犯の認知件数が減少している一方で、凶悪犯の件数は横ばいとなっていることから、凶悪犯の被害にあわないように十分な対策が必要です。

  • 平成21年 15件
  • 平成22年 11件
  • 平成23年 12件
  • 平成24年 18件
  • 平成25年 12件
  • 平成26年 14件
  • 平成27年 14件
  • 平成28年 12件
  • 平成29年 17件

凶悪犯の被害にあわないためには、夜遅い時間に出歩かない、暗くなったら人通りの少ない場所を出歩くのは避ける、防犯ブザーなどを持ち歩く、万が一身の危険を感じたらすぐに周囲に助けを求めて警察に連絡するなどの対策が効果的です。

放火の被害を防ぐためには、家の周りに新聞紙や段ボールなど燃えやすいものを置かないように心がけましょう。

(3)粗暴犯

粗暴犯とは、暴行、傷害、脅迫、恐喝など、暴力によって他人に損害を与える罪を犯した者を指します。

粗暴犯は都市部での発生が比較的多いため、被害を防ぐためにはできるだけ人通りが多い繁華街に出かけることを避けた方がよいでしょう。

厚木市における粗暴犯の件数は次のとおりで、徐々に減少している傾向にあります。

  • 平成21年 172件
  • 平成22年 207件
  • 平成23年 176件
  • 平成24年 174件
  • 平成25年 156件
  • 平成26年 119件
  • 平成27年 131件
  • 平成28年 125件
  • 平成29年 111件

(4)窃盗犯

①窃盗犯の種類と件数

窃盗犯とは、他人の財物を故意に持ち去ったり、無断で使用する罪を犯したりする者をいいます。窃盗犯は犯罪の各類型の中でもっとも件数が多く、被害にあう可能性も高い犯罪です。

窃盗犯は侵入窃盗犯と非侵入窃盗犯の2種類に分けられます。

侵入窃盗犯とは住居や店舗などに忍び込んで物を盗む手口をいい、空き巣が典型的です。
非侵入窃盗犯とは侵入窃盗犯以外の窃盗犯をいい、車上ねらい、万引き、自転車盗などが典型です。

厚木市における窃盗犯の件数の推移は次のとおりで、非侵入窃盗犯の件数の減少により窃盗犯の件数自体は減っていますが、平成29年の侵入窃盗犯の件数は前年より100件近く多い247件となっています。

  • 平成21年 2,809件(うち侵入窃盗犯300件、非侵入窃盗犯2,509件)
  • 平成22年 2,464件(うち侵入窃盗犯286件、非侵入窃盗犯2,178件)
  • 平成23年 2,267件(うち侵入窃盗犯186件、非侵入窃盗犯2,081件)
  • 平成24年 2,219件(うち侵入窃盗犯198件、非侵入窃盗犯2,022件)
  • 平成25年 2,031件(うち侵入窃盗犯193件、非侵入窃盗犯1,838件)
  • 平成26年 1,902件(うち侵入窃盗犯133件、非侵入窃盗犯1,769件)
  • 平成27年 1,734件(うち侵入窃盗犯121件、非侵入窃盗犯1,613件)
  • 平成28年 1,899件(うち侵入窃盗犯148件、非侵入窃盗犯1,751件)
  • 平成29年 1,451件(うち侵入窃盗犯247件、非侵入窃盗犯1,204件)

②侵入窃盗犯

窃盗犯の被害を防ぐための方法は手口によって異なります。

侵入窃盗犯には、家の主が外出して留守にしている間に侵入して金品を盗む、いわゆる「空き巣」のほかに、家人が在宅している間に侵入する「忍び込み」や「居あき」の手口もあります。

全体の割合では空き巣が6割程度ともっとも多いですが、忍び込みや居あきも3割程度ありますので、在宅中だからといって油断は禁物です。

空き巣の被害を防ぐために最も重要なことは、当然のことのようですが、鍵をかけ忘れないことです。仕事や買い物で長時間家を空けるときはもちろん、ゴミ出しや近所のコンビニに行くために短時間家を空けるときにも必ず施錠するようにしましょう。

また、空き巣は人目につくことを嫌います。侵入経路になりそうな窓が塀や生け垣などによって外から見えない状態になっていると、空き巣のターゲットとされる可能性があります。

そのような窓があれば可能な限り死角をなくすようにしましょう。防犯フィルムや補助錠、警報ブザーなどの対策も有効です。

忍び込みや居あきの被害を防ぐためには、たとえ在宅中であっても、目の届かない場所の扉や窓は必ず鍵をかけるようにしましょう。

③非侵入窃盗犯

非侵入窃盗犯の中で最も件数が多いのが自転車盗です。

厚木市にお住まいの方でも、今までに自転車を盗まれた経験がある方は少なくないのでしょうか。

自転車盗の被害を防ぐためには、駐輪するときに施錠することはもちろん、壊されにくい鍵を利用する、鍵を二重にする、人目のつかない場所にはなるべく駐輪しない、長時間の駐輪は避けるといった対策が有効です。

ロードバイクやクロスバイクなど高価で軽量の自転車の場合は、自転車そのものに施錠していても鍵がかかったまま持ち去られてしまうことがあります。

厚木市が運営している本厚木駅周辺の駐輪場には自転車をスタンドに固定できる場所がありますので、そのような駐輪場を利用するのがよいでしょう。

(5)知能犯

知能犯とは、詐欺、背任、横領、偽造行使など知能を使った罪を犯した者をいいます。知能犯について近年社会的な問題となっているのが特殊詐欺の被害の増加です。

特殊詐欺とは、面識のない相手を電話やメールなどを使って対面することなく騙し、預貯金口座への振り込みなどの方法によって現金を渡させる詐欺の手口を言います。

これまで問題となった特殊詐欺の手口には、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺などの「振り込め詐欺」や、金融商品などの取引を持ち掛けて現金を振り込ませる手口、競馬やパチンコなどギャンブルの必勝法があると言って情報提供の名目で現金を騙し取る手口、異性との交際をあっせんする名目で現金を騙し取る手口など次々と新しい手口が生まれ、それらを取り締まる警察との「いたちごっこ」の状態が続いています。

このような背景もあって、厚木市における詐欺の件数は50件台の翌年に100件台に跳ね上がるなど不安定な傾向が続いています。

  • 平成21年 99件
  • 平成22年 61件
  • 平成23年 56件
  • 平成24年 62件
  • 平成25年 183件
  • 平成26年 83件
  • 平成27年 72件
  • 平成28年 52件
  • 平成29年 108件

特殊詐欺の被害にあわないためには、代表的な詐欺の手口を知って警戒を怠らないこと、そして安易に振り込みを行わないことが重要です。

厚木警察署では管内での振り込め詐欺の被害をホームページ上で公開していますので、実際にどのような手口での被害が発生しているのか知っておくことも被害の防止に繋がるでしょう。

(6)風俗犯

  • 平成21年 14件
  • 平成22年 17件
  • 平成23年 10件
  • 平成24年 22件
  • 平成25年 16件
  • 平成26年 56件
  • 平成27年 35件
  • 平成28年 22件
  • 平成29年 35件

風俗犯とは、賭博やわいせつなど社会の善良な風俗に反する罪をいいます。
刑法犯全体の件数は減少しているにもかかわらず、風俗犯の数は平成21年当時よりも大きく増加しています。

風俗犯の大部分を占めているのは強制わいせつなどわいせつに関する罪です。

女性は夜遅い時間に出歩くことを避け、帰宅時などにはなるべく明るく人通りが多い道を選ぶことでこれらの犯罪の被害を防ぐことができるでしょう。

3.厚木市の防犯に関する取り組み

厚木市では、防犯のためにさまざまな取り組みを行っています。

(1)見守りシステム

本厚木駅周辺には28か所、計65台の防犯カメラが設置されており、これを「見守りシステム」と呼んでいます。

防犯カメラは犯罪の抑止に高い効果が期待できます。

(2)移動番屋の開設

厚木市では、月1回のペースで防犯パトロール車「パトちゃん号」が各地区の公民館(市民センター)を訪問し、市民安全指導員(防犯パトロール隊)が防犯相談・防犯の啓発・防犯情報の提供などを行っています。これを「移動番屋」と呼んでいます。

空き巣の手口を紹介したり、防犯を呼び掛けるなどしたりして安心・安全の確保と防犯の啓発を行っています。

(3)防犯灯の設置

厚木市では、夜間における歩行者の安心・安全の確保と犯罪被害の防止を目的として、終夜点灯する照明灯を設置するよう市に対して求めることができます。

防犯灯の設置は、自治会長が周辺住民と土地所有者から承諾を得たうえで、市長に「防犯灯設置申請書」と関係書類を提出することにより申請することができます。

4. もしも逮捕されたら

ここまで、厚木市の刑事犯罪事情と防犯の対策について説明しました。

実際に犯罪の被害にあった方は、「まさか自分が犯罪の被害にあうとは思ってもいなかった」と感じる方が多いことでしょう。しかし、「防犯のために対策をしなければいけない」ということ自体は誰もが意識していることです。

一方、自分や家族が犯罪の嫌疑をかけられ、逮捕されたらどうすればいいか考えたことがある方は少ないかもしれません。

逮捕後の手続においては、(1)逮捕後48時間に微罪処分となり送検を免れることができるか、(2)送検後24時間後に勾留を免れることができるか、(3)勾留決定から最大20日後に起訴されるかどうか、という3つの重要な局面があります。

それぞれの局面で適切な対応をとることが、早期の釈放と不起訴処分の実現のためのポイントとなります。

5.刑事事件における弁護士の役割

(1)起訴前の役割

弁護士というと、法廷で被告人の情状酌量の余地を主張したり、無罪を訴えたりする姿を想像するかもしれません。しかし、法廷における活動は弁護活動の一部に過ぎません。

すでに説明したように一度起訴されてしまうと有罪とされる可能性が極めて高いため、起訴前に早期釈放を実現したり不起訴処分を獲得したりするための弁護活動は特に重要です。

逮捕の目的は逃亡や証拠隠滅を防ぐことにありますので、住居不定でない限り、逃亡や証拠隠滅をする可能性が低ければ逮捕を継続することはできず、釈放しなければいけません。

そこで、検察官や裁判官に対して次のような主張を行うことで早期の釈放を実現できることがあります。

  • 罪を認めて十分に反省しており、証拠隠滅のおそれはない。
  • 犯罪が軽微であり、軽い処分が見込まれるにもかかわらず逃亡するとは考えられない。
  • 本人に家族や定職があり、それらを捨てて逃亡をするとは考えられない。
  • 家族が本人を監督することを約束しているので、逃亡や証拠隠滅の可能性が低い。
  • すでに必要な捜査が行われており、証拠隠滅のしようがない。
  • 被害者と示談が成立しており、あえて被害者と接触して証拠隠滅を図るとは考えられない。

(2)接見

弁護士には被疑者や被告人と立ち合いなしで接見する権利が保障されています。

接見とは、警察署の留置施設などで被疑者・被告人と面談して弁護方針などについて話し合いをすることをいいます。

家族など弁護人以外も接見をすることはできますが、1回の接見の時間や1日のうちに許される接見の回数は制限されており、接見には警察官が立ち会います。

また、逮捕から勾留決定が出るまでの72時間は弁護士以外が接見することは困難です。

さらに、警察や検察などの捜査機関の請求により裁判所が接見禁止の決定を出すことがあります。これが出されると、弁護士以外が接触することは手紙のやりとりも含めて一切禁止されます。

弁護士は接見禁止の有無や逮捕後の期間を問わず、警察官の立ち合いなく、時間や回数の制限もなく被疑者や被告人と接見することができます。

(3)できるだけ早く弁護士に依頼する

このように、弁護士には刑事手続においてさまざまな特権が認められています。身柄を拘束されて捜査機関による取り調べを受けることは、逮捕された人にとって精神的にも肉体的にも非常に過酷なものです。

そのようなときに被疑者・被告人を徹底的にサポートできるのは弁護士だけです。

突然逮捕されて身柄を拘束され、孤独と不安と闘っている方にとって、自分の味方になってくれる弁護士は何よりも心強いものです。

逮捕されてしまったときは、早期の釈放と不起訴処分の実現のために、一刻も早く弁護士に依頼することをお勧めいたします。

6.もし逮捕されたら弁護士に相談を

厚木市で発生した犯罪は厚木警察署の管轄となり、被疑者・被告人は厚木警察署に身柄を拘束されます。厚木警察署の住所や連絡先は次のとおりです。

〒243-0004

神奈川県厚木市水引2丁目3番1号

046-223-0110

無料相談受付中! Tel: 0120-520-430 平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:30
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