交通事故

眼(眼球・まぶた)の後遺障害の種類

交通事故で眼球やまぶたに何らかの後遺症(たとえば、視力障害・調節機能障害・運動機能障害・視野障害など)が残ったとき、治療費などとは別に追加で損害賠償請求できる可能性があります。

そのためには、後遺障害等級認定手続で後遺障害の等級に当たると認定されることがほぼ必須です。

等級に応じて、精神的苦痛を賠償する「後遺障害慰謝料」の金額の目安と、後遺障害による将来の減収を埋め合わせる「逸失利益」の計算項目のひとつ、労働能力喪失率の目安が定められています。

さて、目すなわち眼球とまぶたは二つ合わせて一つの視覚機能を営んでいるために、特に視力障害の認定基準は一見すると複雑です。

さらに、もともと視力などには個人差がありますから、検査結果の数値が当てはまる等級よりも低い認定を受けてしまうこともあります。

病院への通院と弁護士への相談を着実に行い、手続の見通しを考えておきましょう。

ここでは、目の後遺障害の基本を分かりやすく説明します。

1.視力障害

視力障害は、交通事故により生じた怪我が原因で視力が低下してしまったり失明してしまったりしたときに問題となります。

(1) 視力低下

手続上、視力は裸眼ではなく矯正視力を指します。現在、メガネやコンタクトレンズは日常的に用いられているからです。

視力がどこまで低下したかを検査するには「万国式試視力表」が用いられています。アルファベットの「C」が上下左右どれを向いているか答えるお馴染みの検査です。

他にも、事故が原因であると明らかにするために、様々な検査を受ける必要があります。

眼球のキズを顕微鏡で調べる。視神経を信号が通っているか確認する電気生理学的検査、眼底検査など、医師の指示に従い検査を受けてください。

(2) 失明

後遺障害等級認定手続では、失明は以下のどれかに該当することを指します。

  • 眼球摘出
  • 明暗が分からない
  • 明暗がようやくわかる

3の「ようやくわかる」には、「光覚弁(暗い部屋で証明の点滅が分かること)」と「手動弁(目の前でてのひらを上下左右に動かしてどちらに動いているかわかること)」の視覚能力があるケースも含まれます。

視力障害における等級と認定基準、慰謝料や労働能力喪失率の表は以下の通りです。

等級

認定基準

後遺障害慰謝料

(弁護士基準)

労働能力喪失率

1級

両眼が失明したもの

2800万円

100%

2級

1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの

2370万円

100%

両眼の視力が0.02以下になったもの

3級 

1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの

1990万円

100%

4級 

両眼の視力が0.06以下になったもの

1670万円

92%

5級 

1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの

1400万円

79%

6級 

両眼の視力が0.1以下になったもの

1180万円

67%

7級 

1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの

1000万円

56%

8級 

1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になったもの

830万円

45%

9級 

両眼の視力が0.6以下になったもの

690万円

35%

1眼の視力が0.06以下になったもの

10級 

1眼の視力が0.1以下になったもの

550万円

27%

13級 

1眼の視力が0.6以下になったもの

180万円

9%

2.調節機能障害

調節機能とは資格のピントを合わせる機能のこと、いわゆる遠視や近視で問題になる機能です。

年齢により自然と悪くなりますから、被害者様の年齢に応じた「調整力値」で修正されます。そのため、特に55歳以上の被害者様は認定対象とはならないことにご注意ください。

等級

認定基準

後遺障害慰謝料

(弁護士基準)

労働能力喪失率

11級

両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの

420万円

20%

12級

1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの

290万円

14%

3.運動機能障害

二つの目が連動して動くことで目の焦点を合わせられるところ、その動きに障害が生じてしまうものです。

運動機能が損なわれると、物が二重に見える「複視」も生じやすくなります。いずれも、眼球を動かす筋肉のマヒなどの原因が共通しているためです。

等級

認定基準

後遺障害慰謝料

(弁護士基準)

労働能力喪失率

10級

正面視で複視の症状を残すもの

550万円

27%

11級

両眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの
※眼球の著しい運動障害とは、ヘスコオルジメーターで眼球の注視野の広さが2分の1以下となったものを説明しています。

420万円

20%

12級

1眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの

290万円

14%

13級

正面視以外で複視の症状を残すもの

180万円

9%

(1) 複視

手続上、「複視」として認定されるための条件は以下の3つです。

1. 本人が、複視があると自覚していること
2. 眼筋のマヒなど複視を残す明らかな原因が認められること
3. ヘススクリーンテストにより患側の像が水平方向または垂直方向のメモリで5度以上離れた位置にあることが確認されること

2の「原因」には、神経麻痺(動眼神経、滑車神経、外転神経など)、脳血管障害、外眼筋麻痺、眼窩壁(がんかへき)骨折など目に関わる様々な組織の損傷があります。

3のヘススクリーンテストとは、赤色・緑色のガラスをそれぞれ左右の目に当てて物を見て、赤色の像と緑色の像のズレから左右の眼球のズレを確認する検査です。

(2) 著しい眼球運動障害

「著しい」運動障害とは、眼球の「注視野」の広さが二分の一以下となっていることを指します。

「注視野」とは、頭を固定して眼球だけを動かして直視できる範囲のことです。
人により大きく異なりますが、平均的には片目なら上下左右50度程度、両目で45度程度です。

4.視野障害

視野とは、目の前を見つめて同時に見ることができる範囲を言います。

ものがはっきりとピントが合ってぶれずに見えても、視野が狭くなると日常生活に支障が出るため、後遺障害等級が定められています。

視野障害と認定されるには、ゴールドマン視野計による検査で視野が正常の60パーセント以下になったと認められる必要があります。

等級

認定基準

後遺障害慰謝料

(弁護士基準)

労働能力喪失率

9級

両眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの

690万円

35%

 

13級

1眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すもの

180万円

9%

(1) 半盲症

視神経の損傷が原因で、注視点を境界として両眼の視野のいずれか半分が見えなくなってしまう障害です。

視神経が脳に行く前に「X」のように入れ違う「視神経交叉」から脳までの部分に問題が生じたものが対象となります。

(2) 視野狭窄

視野が狭くなる視野狭窄は、周辺が見えなくなる同心性狭さくと不規則狭窄とがあります。

(3) 視野変状

暗点と視野欠損のふたつがあり(正確には半盲症と視野狭窄も含まれますが、等級表では別扱いになっています)、いずれも網膜の損傷などにより盲点以外の部分に視野の欠損が生じるものです。

5.準用により特定の等級に相当するとされるケース

上記障害そのものに当たらなくても、その他の後遺症の中には後遺障害等級に当たるとみなす「準用」処理がされ、特定の等級に「相当」するものとして、損害賠償できることがあります。

(1) 羞明(外傷性散瞳)

瞳孔が開いたままになってしまい、まぶしすぎてものが見えにくくなってしまう後遺症です。

症状が著しいためにひどく生活に著しい支障が生じているのであれば、症状の程度・症状が両目か片目かに応じて11級、12級、14級のいずれかに認定される可能性があります。

視野障害や調節機能障害があるときには併合の対象となりますので、併せてより高い等級となりえます。

(2) 流涙

涙が止まらない、または涙を適切に眼から排出することができなくなったために、目の表面に涙が過剰にたまってしまった状態です。
片目ならば14級、両目なら12級相当とされます。

6.まぶたの障害

(1) 欠損障害

まぶたの全部または一部を失ってしまったために目を完全に閉じられなくなってしまったケースです。
ほかにもまつげを失った「まつげはげ」もまぶたの欠損障害の一つとされています。

等級

認定基準

後遺障害慰謝料

(弁護士基準)

労働能力喪失率

9級

両眼の瞼に著しい欠損を残すもの

420万円

20%

11級

1眼の瞼に著しい欠損を残すもの

290万円

14%

13級

両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

180万円

9%

14級

1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

110万円

5%

欠損が「著しい」ものはまぶたを閉じても角膜を完全に覆えないもの、「一部に欠損を残す」ものは角膜を完全に覆えても白目が露出してしまうものをいいます。

まつげはげは、半分以上のまつげを失うことが条件です。

(2) 運動障害

まぶたを開閉する筋肉、ひいてはまぶたの開閉に障害が残ったケースです。

等級

認定基準

後遺障害慰謝料

(弁護士基準)

労働能力喪失率

11級

両眼の瞼に著しい運動障害を残すもの

420万円

20%

12級

1眼の瞼に著しい運動障害を残すもの

290万円

14%

「まぶたに著しい運動障害を残すもの」とは、普通にまぶたを開けてもまぶたが完全に瞳孔を覆ってしまうもの、または、まぶたを閉じても角膜を完全に覆えないものをいいます。

7.まとめ

視覚障害は医学的検査により症状の内容や程度を把握しやすいことは確かです。
それでも、多くの機能を精密な体組織が支える目では、等級や障害の内容、検査などが複雑となっています。

症状が明らかでも、事故から症状の確認まで間が空いてしまうと、交通事故以外の原因を疑われてしまいます。

通院や検査はお早めに行い、落ち着きましたら、後遺障害等級認定手続の申請や損害賠償請求の見通しを確認するため、弁護士へお気軽にご相談ください。

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