法人破産 [事例5]

東日本大震災後の消費不況で売上が下がり資金繰りに行き詰った事例

通信販売・IT業
債務整理方法借金総額
自己破産 600万円⇒0円

背景

本件会社は、もともと、社長であるAさんが個人事業として通信販売業を営んでいたものが前身となっています。Aさんは、約10年間、個人事業という形で通信販売の実績を積み重ね、その後、個人事業を法人化し、本件会社を設立しました。そして、Aさんは、本件会社の設立と同時に、販売用の店舗も出店しました。

Aさんにとって、販売店舗を出すことは長年の夢でした。もっとも、出店のための費用は当初の予想よりも大分多くかかってしまい、自己資金だけでは賄えなかったため、やむなくAさんは、開業資金の不足分と当面の運転資金を銀行から借り入れて工面しました。Aさんとしては、この程度の借金は、会社の売上を伸ばしていくことによって、すぐに返せると思っていました。

しかし、2011年3月11日、東日本大震災が起きてしまったのです。この震災により、商品の流通網は完全にマヒし、消費も落ち込んだことから、Aさんは、銀行からさらなる借入れをしなければならなくなりました。その後も、会社の業績は回復せず、銀行も強硬な態度で返済計画のリスケジュールには応じてくれませんでした。そして、Aさんは、自身の体にも変調をきたすようになり、今後の会社の経営や自分自身の生活に不安を覚え、当事務所へ債務整理の相談をすることとなりました。Aさんは、弁護士から債務整理についてのアドバイスを受け、会社の自己破産を行うことを決断しました。

対応

本件会社の販売店舗は賃貸物件だったのですが、Aさんは、弁護士のアドバイスに基づいて、当該店舗の明渡しと保証金の精算を行いました。そして、自己破産の申立をする会社にはありがちなのですが、本件会社も、弁護士事務所に債務整理を依頼する直前まで営業を行っていたことから、当該店舗内にある什器備品や在庫商品が残ったままでした。

まず、在庫商品については、Aさんの知り合いを通じて、なるべく高く買い取ってもらえる業者を探し、複数社に見積もりを出してもらった上で、一番高いところに売却しました。次に、什器備品については、ほとんどが値段のつかないものであったものの、幸い、Aさんの知り合いの取引先が無料で譲り受けてくれるとのことだったので、その業者に譲渡しました。この場合も念のため、什器備品の査定(値段がゼロである旨の査定)は取ることとなります。
本件では、上記賃貸物件の他には特に資産はなかったため、当該物件の処理が終わった後は、借入れ経緯等をヒアリングした上で、すみやかに裁判所に対して自己破産の申立を行いました。

結果

裁判所に対して速やかに自己破産の申立をし、破産管財人との打合せを迎えることとなったのですが、上記のとおり、会社のほぼ唯一の資産であった店舗とその中の什器備品は既に処理済であったため、管財人との打合せは一度だけで、しかも極めて短時間で終えることができました。

会社(法人)の破産申立においては、破産管財人は破産会社の資産や負債の状況について細かく調査するのが通常なのですが、本件では、破産申立前に、Aさんの方で、弁護士のアドバイスに基づいて、きちんと店舗の処理ができていたために、上記のような短時間での打合せで終えることができたのでした。その後、無事に、裁判所の免責許可決定も下り、会社の借金をゼロにすることができました。

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