交通事故

高次脳機能障害の後遺障害で医師との連携が重要な理由

「交通事故で頭に衝撃を受けた被害者が意識を取り戻したけれど。様子がおかしい」
そう思ったら、すぐさま医師に伝えましょう。

脳神経が損傷して認知障害や性格の変化が生じてしまう「高次脳機能障害」は、後遺症が残ると被害者様やその周囲の皆さんに長い将来大きな苦しみを与え続けてしまいます。

しかし、高次脳機能障害は見過ごされやすい障害です。
被害者様のことをよく知らない医師が障害に気付かない、障害を適切に把握できないことは多いのです。

後遺症の損害賠償をするためには、後遺障害等級認定を受ける必要があります。
その認定手続では、医師の診断書や各種検査結果が欠かせませんが、医師が被害者様の症状を理解していなければ、検査が不十分となり、診断書の内容が実態とずれてしまうおそれがあります。

医師よりも被害者様に身近に治療を行う、看護師やリハビリの専門職の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などとも密接に連携をとることが大切です。

ここでは、被害者様の異常に気付いたご家族が、医師など医療関係者に何を伝えればよいのか、後遺障害等級認定のためにどうするべきなのかを説明します。

1.医師とのコミュニケーションの重要性

後遺障害等級認定手続では、医師の判断が最も重要視されます。
しかも、高次脳機能障害では、医師の作成する診断書の記載内容次第では、そもそも高次脳機能障害として後遺障害の審査を受けられないのです。

審査を受けられたとしても、画像検査や知能テスト、医師による症状の報告書などの内容が実態を反映していなければ、後遺障害と認定されないおそれが生じます。

さらに後遺障害は症状の重さにより「等級」という14のランク付けがされています。

等級により後遺障害の損害賠償金の目安も大きく変わります。認定を受けられたとしても、本来受けられたはずの等級より低い等級に認定されてしまえば、手に入れられる賠償金も減ってしまうでしょう。

被害者様の異常に気付いたら、すぐに医師にお伝えください。

「入院中に買ってきてと頼まれたものを持ってきたのに頼んでいないと怒りだした」「得意だった料理でフライパンを焦がしてしまい、家族が見守っていないと料理ができなくなった」など、事故前になかった日常生活の支障は、ご家族など周囲の方々が日常生活報告書にまとめることになります。

気付いたらメモを取りましょう。そして、そのメモを医師に見せながら、症状を伝えてください。

[参考記事]

高次脳機能障害に気付いてからの後遺障害等級認定準備

2.認定で重要な書類・検査

次に、後遺障害認定で重要な書類・検査ごとに、医師にどのようなことを伝えればよいのか詳しく説明します。

(1) 後遺障害診断書

後遺障害診断書は、一般的に後遺障害等級認定手続でもっとも重要な必要書類です。

高次脳機能障害の認定システムでは、後遺障害診断書の診断名に「高次脳機能障害」とずばり記載されていれば審査を受けられます。

しかし、認定を受けるにはさらにその内容が認定のポイントとなる要素を十分に記載していることが必要です。

主な認定のポイントとしては、以下のものが挙げられます。

  • 症状
  • 脳の画像検査結果
  • 事故直後の意識障害
  • 知能テストの結果

認定手続は総合評価。要するに被害者様個人の事情次第でどれがどうであれば認定されるか、何級になるかは断言できません。
だからこそ、それぞれの要素をできる限り有利なものとするよう努力しなければいけないのです。

後遺障害診断書は、治療が終わった症状固定後に医師に作成を依頼することになります。

医師次第ではありますが、弁護士に相談して教えてもらったポイントをもとに、作成の前後に微妙なニュアンスの調整程度はお願いできるでしょう。

しかし、医師が事故直後から症状固定までに被害者について診察・検査した内容を覆すことはできません。
早くから継続して、医師に根気よく症状を説明し続けましょう。

(2) 経過診断書

「経過診断書」とは、治療中、毎月医師が作成しては保険会社に送付している診断書です。

経過診断書に「高次脳機能障害を疑わせる事情」が記載されている場合、審査機関は被害者様の症状を調査し、高次脳機能障害の疑いが強いと判断すると、高次脳機能障害としての後遺障害等級認定の審査を受けられます。

高次脳機能障害を疑わせる事情とは、具体的には以下の通りです。

  • 高次脳機能障害の診断
  • 高次脳機能障害の症状
  • 脳画像検査の異常
  • 重度、または長期の意識障害

意識障害以外の事情は、被害者様のご家族が医師に症状を伝えないと記載がされないおそれがあります。

経過診断書は、後遺障害診断書と異なり、医師が作成する前後に内容をチェックできません。

できれば、最初の経過診断書が作成される事故直後1か月以内に、被害者様の症状を医師に具体的に伝え、医師が経過診断書に症状など上記の事情を記載するよう促してください。

(3) 画像検査

症状を伝えるとともに、すぐに精密画像検査をお願いしましょう。場合によっては、症状固定まで定期的に検査し続ける必要が生じます。

後遺障害等級認定では客観的な医療検査、「他覚的知見」が医師の診断書と並んで重視されます。

他覚的知見の代表例が画像検査です。異常があれば一目で分かります。

とはいえ、高次脳機能障害の場合、脳の損傷が画像検査ではっきりとわかることはなかなかありません。

事故直後に検査すればわかる脳挫傷でも、数か月経てば画像に写らないほど回復してしまいます。

逆に、神経がねじ切られて数か月後に消失する「びまん性軸索損傷」のケースでは、事故直後と数か月後の脳の画像検査を比較して、脳の空白部分である「脳室」がどれだけ拡大したかを確認する必要があります。脳室はもともとあるものであり、しかも個人差があります。

事故後できる限り早くに脳室の大きさを検査で確認、その後も長期間、定期的に検査を続けなければいけません。

医師によっては、そこまでの検査は治療には不要と考える方もいます。
高次脳機能障害になっていること、勝利後遺障害等級認定手続の証拠として必要になることを説明して、画像検査をお願いしてください。

その際には、事故直後に撮影されているCT検査では不十分です。
MRI検査の中でもさらに精密な検査をしましょう。

(4) 知能テスト

知能テストで高次脳機能の低下をできる限り客観的に明らかにするためにも、知能テストを選択して実施する医師に、被害者様の症状を適切に伝えることが欠かせません。

高次脳機能は記憶力や判断力、行動力など複雑な能力であり、障害が生じるとそのうち複数が程度もばらばらに低下してしまいます。

知能テストで高次脳機能の低下を適切に証明するには、医師が被害者様の具体的な症状を把握して、症状に対応した知能テストを実施することが必要です。

また、日常生活状況報告書の内容と知能テストの結果が噛み合うようにするためにも、医師に症状を丁寧に説明することは不可欠です。

3.看護師やリハビリ専門職への対応

看護師やリハビリの専門職の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などとのコミュニケーションもおろそかにしてはいけません。

看護師がつける看護記録、リハビリ専門職の皆さんが作成するリハビリ記録の中には、被害者様の入院中の様子や、リハビリによる治療の推移が記録されています。
医療記録の一環として後遺障害等級認定手続や、裁判で証拠となる可能性があります。

医師以外の医療関係者が作成した資料は、普通はさほど重視されません。
しかし、日常生活の支障が症状として問題となる高次脳機能障害では、医師よりも被害者様との距離が近い看護師やリハビリ専門職の作成した各種記録は決して無視できないのです。

ここでもやはり、日常生活状況報告書との内容の整合性がポイントです。

報告書と看護記録やリハビリ記録で、記載されている被害者様の様子が食い違っているようであれば、報告されている症状が本当にあるのか、審査機関は疑問を持ってしまうでしょう。

看護師は事故直後から被害者様に接することになります。事故前の被害者様はどのような人だったのか、そして目を覚ましたいま、どのようなところがおかしくなっているのか伝えてください。

リハビリの専門職の方には、入院時だけでなく退院後もお世話になることでしょう。
リハビリを長期間続けることは、治療のためにも、医療関係者に症状を確認し続けてもらうためにも重要です。

家庭などでの様子をリハビリの度に伝え、被害者様の症状について認識を共有するようにしましょう。

4.まとめ

高次脳機能障害は、被害者様に身近なご家族が一番に気付くことができます。
一方、後遺症の損害賠償請求をするために必要な後遺障害等級認定の必要書類として重要な診断書の作成や各種検査を行う医師は、症状に気付くことはどうしても難しいものです。

ご家族が症状に気付いたらすぐに医師に具体的な問題行動のエピソードを伝え、後遺障害等級認定に必要な検査をしてもらい、症状について理解してもらいましょう。

ただ、高次脳機能障害の認定はとても難しく、被害者様のケガの内容や症状により、実際に何をどのように伝えればよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
そんなときはすぐさま弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所は、これまで多数の交通事故の被害者の方をお手伝いしてまいりました。
関東に張り巡らした支店ネットワークと、経験豊富な弁護士が、被害者の皆様をサポートいたします。

高次脳機能障害に苦しむ皆様のご来訪をお待ちしております。

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