交通事故

交通事故で腕を損失…。上肢欠損の後遺障害と損害賠償請求

肩関節から先、二の腕、ひじ、手などの腕の部分を、交通事故の損害賠償請求では上肢と言います。
人間は、二足歩行をすることで手を使えるようになり、文明を築きあげてきました。様々な道具、現代ではパソコンのキーボードやスマホの活用など、日常生活はもちろん仕事の中でも手が思うように動かなければ手がなければ満足な生活を送ることはできません.

ですから、交通事故で腕を失ってしまったときは、後遺症が残ったとして、治療費などとは別に追加の損害賠償請求ができます。

すでに保険会社から、「あなたは後遺障害に認定されたので、1,000万円支払います」などと言った連絡がされているかもしれません。
しかし、この金額だけでは十分でありません。弁護士に依頼すれば、より多くの損害賠償金を手に入れられる可能性があります。

ここでは、交通事故で手や腕を失ってしまった被害者の方の後遺障害の損害賠償請求についてわかりやすく説明します。

1.上肢欠損と後遺障害の等級

交通事故による後遺症は、後遺障害等級認定手続で後遺障害の等級に該当すると認定されることで、後遺症についての損害賠償請求ができるようになります。
等級とは、後遺障害を症状の重さに応じてクラス分けしたもので、損害賠償の金額や計算項目の目安が定められています。

腕を失ってしまった事実は明らかですから、等級についてあまりトラブルになることはありません。

上肢欠損の後遺障害について損害賠償請求できる金額の目安は、腕をどこで切断してしまったのか・両腕か片腕か、の二つのポイントで決まります。

等級の順番で言えば、以下のようになっています。

  • 1級3号 両上肢をひじ関節以上で失ったもの 
  • 2級3号 両上肢を手関節以上で失ったもの 
  • 4級4号 1上肢をひじ関節以上で失ったもの 
  • 5級4号 1上肢を手関節以上で失ったもの

ちなみに、ケガを治療するために腕を切断することになったとしても、事故で直接腕を失ってしまった場合と認定される等級に影響はありません。

また、手の骨が短くなっても後遺障害にはなりません。骨が短くなってしまう「短縮」は、足は後遺障害と認定される可能性がありますが、腕については後遺障害とされていません。

等級 後遺障害の内容 自賠責の後遺障害慰謝料 弁護士基準の後遺障害慰謝料
1級 両上肢をひじ関節以上で失ったもの 1100万円 2800万円
2級 両上肢を手関節以上で失ったもの 958万円 2370万円
4級 1上肢をひじ関節以上で失ったもの 712万円 1670万円
5級 1上肢を手関節以上で失ったもの 599万円 1400万円
【上肢欠損は併合なし】
上肢欠損では、残った上肢に硬直などの機能障害が残ったとしても、等級が上がることはありません。
複数の障害が残ったときは最も大きい等級の障害よりもいくつか上の等級の障害が残ったものと扱われる「併合」がされることがあります。上肢欠損の場合、腕の障害を全体としてみますので、併合がされることは基本的にありません。

2.後遺障害慰謝料と逸失利益

(1) 慰謝料の基準

すでに、加害者側の任意保険会社から、賠償金額が提示されているとき、その金額は、自賠責からの支払いと合わせて数百万円から1,000万円ほどとなっていることがあるかもしれません。

これで十分かと思いきや、実は、任意保険会社は、被害者の方が弁護士に依頼しない限り、さほど多くの保険金を支払いません。

交通事故の損害賠償金の相場では、①自賠責基準(最低限の保証、上限あり)②任意保険会社各自の基準(実は自賠責よりちょっと上なだけのことが多い)③弁護士基準(「裁判基準」とも呼ばれ、これまでの裁判所の判断をもとに定められた①②より圧倒的に高額の基準)の3つの基準があります。

弁護士に依頼して任意保険会社と交渉すると、裁判の手間や費用を避けようとした保険会社が、支払う金額を増やすことがほとんどです。

等級 後遺障害の内容 自賠責の後遺障害慰謝料以外の賠償金上限 弁護士基準の後遺障害慰謝料
1級 両上肢をひじ関節以上で失ったもの 1900万円 上限なし
2級 両上肢を手関節以上で失ったもの 1632万円  
4級 1上肢をひじ関節以上で失ったもの 1777万円  
5級 1上肢を手関節以上で失ったもの 975万円  

上肢欠損では後遺障害の認定自体は争われにくく、また、弁護士の介入による増額幅も大きいため、ほとんどの場合は、弁護士費用を踏まえても、弁護士に依頼することで、手に入れられる金額が増えやすくなります。

(2) 後遺障害慰謝料

後遺障害の損害賠償金の中でも、「後遺障害慰謝料」は、後遺障害による精神的苦痛の賠償金です。

弁護士に依頼すれば、後遺障害の損害賠償金の一つに過ぎない後遺障害慰謝料だけでも、金額が倍以上になる可能性があります。

(2) 逸失利益

後遺障害の損害賠償金には、他にも様々なものがあります。特に、後遺障害のせいで将来手に入れられなくなると見込まれる収入、「逸失利益」は、上肢欠損ではかなりの金額に上ります。

一方、義手の発達などにより、弁護士に依頼して保険会社と根強く交渉しなければ、収入への悪影響が少ないとして減額されるおそれがあることにも注意が必要です。

【上肢欠損の場合の逸失利益の目安】
自賠責の支払いには上限がありますから、逸失利益など後遺障害慰謝料以外の損害賠償金は本来の計算通りに支払われるとは限りません。弁護士に依頼することで、見込み額により近い金額の逸失利益などを手に入れられるようになります。

逸失利益は、過失相殺による減額の可能性が一般的な損害賠償請求と同じように問題となります。

上肢欠損の場合は、義手の影響を無視できません。
昨今の義手の技術的な発展は目覚ましく、義手の性能や義手を利用したリハビリの状況などにより、労働能力喪失率が等級表より相当程度低くなることがあります。また、等級表の労働能力喪失率に見合うほどの減収が、賠償請求の時点で実際に生じていないことも珍しくありません。

そこで、逸失利益の請求に当たっては、義手の性能の限界・義手を利用したリハビリの限界・リハビリなどによる仕事や私生活への支障・将来のさらなる減収のリスク・将来に失職するリスク・転職や再就職する先が限られてしまう、といった、義手に関する不利益や将来の仕事への悪影響を保険会社に説得力を持って主張する必要があります。

3.他の上肢欠損の損害賠償金

(1) 義手の交換費用など

義手は精密機械であり、しかも、一生利用することになります。そのため、将来、義手本体もしくは部品の交換が高い可能性で予想されます。

義手の性能や部品の性質などにもよりますが、ほとんどの場合は、数年ごとの義手の交換費用も後遺障害によるも損害賠償請求として、後遺障害慰謝料や逸失利益とは別に認められます。

(2) 介護費用

後遺障害等級の定めの上では、上肢欠損は介護が必要になる後遺障害とされていません。しかし、実際には、日常生活を送ることもままならず、介護が必要となることもあります。

この介護費用を請求するには、上肢欠損による日常生活での支障の具体的な状況(風呂に一人で入れない、食事の際に補助が必要など)、家族や介護サービスなどにしてもらっている介護の実態(平日は家族が仕事なので介護サービスを頼んでいる、土日は家族がほぼつきっきりになっているなど)といった、将来、上肢欠損により介護が必要になると言えるための現実の事情を、事細かに主張しなければいけません。

記載が一般的には、下肢、つまり足の欠損などの障害と比べると、上肢欠損など上肢の障害では、介護費用が認められにくい傾向が強いので、実際に介護されているとしても、必ず介護費用を損害賠償請求できるとは限りません。

それでも、請求するとしたら、上記のような事情を丁寧にまとめ上げることが不可欠となります。

4.まとめ

交通事故で腕をなくしてしまった…悲嘆に暮れてしまうことは当然です。
それでも、人生をやり直すためにはどうしてもお金が必要になります。

幸い、交通事故の損害賠償請求制度の大枠は充実した整備がされていますし、上肢欠損の障害認定自体はスムーズに行えることでしょう。

しかし、逸失利益・義手の費用などについて、保険会社の主張を鵜呑みにすることは、本来獲得できるはずの賠償金を逃すおそれがあります。

被害者の方が実際に生活や仕事で受けている悪影響を、事細かに具体的な事実として分類し、その事実がどうして将来の収入に悪影響を与えるおそれがあるのか。法律的な主張としてまとめ上げて保険会社と交渉できるのは、法律の専門家である弁護士だけです。

いずれにせよ、弁護士に依頼すれば、弁護士基準により自賠責よりもはるかに高額の後遺障害慰謝料や逸失利益などの後遺障害による損害賠償請求をできる可能性があります。

保険会社から支払額の提示があったら、それが本当に妥当なのか、これ以上どれだけ増額できる見込みがあるのか、弁護士に相談しましょう。

泉総合法律事務所は、これまで多数の交通事故で腕を失ってしまった被害者の方の損害賠償請求をお手伝いしてまいりました。
上肢欠損で損害賠償請求をご検討の方は、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

無料相談受付中! Tel: 0120-520-430 平日9:00~22:00/土日祝9:00~19:00
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