家族に内緒で自己破産は可能?
借金の支払いができなくなったとき、自己破産をすれば借金を免除してもらうことができます。
しかし、自己破産をすることはできれば家族に知られたくない…と考えている方は多いと思います。
果たして、家族に内緒で自己破産することは可能なのでしょうか?もしバレるとしたら、どのような理由から分かってしまうのでしょうか?
このコラムの目次
1.自己破産は家族にバレやすい
結論から申し上げると、自己破産は家族にバレやすいのが現実です。特に、生計を一つにしている同居家族に隠し通すのは難しいと考えておいた方がよいでしょう。
債務整理には自己破産、個人再生、任意整理の3つがあり、このうち自己破産と個人再生は、提出書類も多く、裁判所からの連絡もくるため、家族にバレる確率は高くなります。
2.自己破産が家族にバレやすい理由
自己破産が家族にバレやすい理由は以下のことがあげられます。
(1) 提出が必要な書類が多い
自己破産をするときには、様々な提出書類が必要です。
自己破産は借金を全て免責する制度ですので、本当に支払い不能な状況どうか、債務者の世帯の家計・収入・財産を調査する必要があり、裁判所によっては同居家族の給与明細などの収入が分かる資料を提出しなければなりません。
しかし、家族に内緒で家族分の給与明細を用意するのは至難の業ですし、理由も告げずに給与明細書を用意してほしいというのも不自然極まりないので、大抵は書類を準備する時点で自己破産のことはカミングアウトせざるを得ないでしょう。
(2) 財産を処分される
自己破産をすると、資産価値が20万円以上ある財産については処分、換価の対象となります。
一般家庭で資産価値20万円以上の財産と言えば、マイホームや自家用車などが考えられます。
家や車が家族名義であれば処分はされませんが、破産者名義であれば通常その対象となります。
自宅が処分されれば家族もそこに住むこともできませんし、車もある日突然処分されるようなことがあれば家族の移動手段は失われます。
そうなった場合、さすがに自己破産を家族に黙っている訳にはいきません。
(3) ブラックリスト入りでローンを組めない
自己破産をすると、その後の5~10年間はブラックリスト入りします。
その間はクレジットカードを作れませんし、新たに借り入れをすることもできません。
また、ブラックリストに載っている期間中は保証人になることもできないので、子供が進学するときに奨学金が必要でも、その保証人になることはできません。
そうしたときに、なぜ保証人になれないのか問い詰められる可能性はあるでしょう。
このように、仮に自己破産の手続きを家族に内緒で終えたとしても、その後の状況から家族に分かってしまうこともありえます。
また、最近の裁判所の傾向として、家族に借金があることを打ち明けることを条件に借金を免責する、と言ってくることもあるので、その場合は家族に内緒で自己破産をするという選択肢は消えてしまいます。
3.家族に内緒の自己破産もまずは弁護士に相談を
ここまで、自己破産を家族に内緒ですることは難しい、というお話をしてきましたが、それでも内緒にしたい…という場合は、その点を含めて弁護士に相談しましょう。
基本的には難しいとはいえ、内緒で手続きができるかどうか、検討をしてもらうことができます。
破産者名義の財産はどのくらいあるか、家計を管理しているか、といったことを1つずつ詰めていき、自己破産を家族に内緒で行えるかどうか、その可能性を探ります。
弁護士に依頼をすれば、受任通知で取り立てを止めたり、郵便物等を破産者ではなく弁護士の下へ届けたりすることも可能です。
そうすると、裁判所からの書類、連絡も弁護士のところにいくので、少なくとも郵便物が原因で自己破産がバレる可能性は低くなります。
財産についても、自宅や車をお持ちでない場合や解約返戻金の生じる保険に加入していない場合などは、処分対象となるものがないことも多いので、財産の処分で家族にバレる可能性も低くなるでしょう。
しかし、やはり、家族には本当のことを正直に話すのが一番です。
仮に内緒で自己破産できたとしても、その後5~10年はブラックリスト入りするので、カードが持てない、借り入れができないという状況の中でずっと隠し通すのは難しく、そうした状況の中で「いつかバレるのでは?」と思いながら過ごすのは精神的に辛いものがあります。
家族にずっと黙っていて、後でバレたらそれこそ信頼関係が根底から崩れてしまうでしょう。
そうしたことがないよう、今後の家庭生活のためにも正直に話すことをおすすめします。
一時の気まずさから逃げてしまうのではなく、家族には思い切って打ち明けて、協力を得ながら困難を乗り越えるのがベストでしょう。
4. 自己破産のご相談は、借金問題に強い弁護士へ
このように、自己破産をするときには財産を処分する必要があったり、家族分の給与明細などの書類も必要となる場合があったりするので、家族に内緒で手続きをするは難しいのが現実です。
ずっと家族に黙っているのは健全ではありませんし、黙っていたことで家族との信頼関係が壊れてしまう恐れもあります。
しかし、それでもカミングアウトできない、複雑な事情を抱えていらっしゃる方もいると思います。
もし、そうした状況でお困りであれば、その点も含めて、一刻も早く弁護士に相談をすることをおすすめします。ご相談が早いほど、解決の選択肢は広がります。
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