債務整理

自己破産のよくある誤解・リスクやデメリットへの対策

自己破産は怖くない?よくある誤解・リスクやデメリットの対策

自己破産手続は、支払いきれなくなった借金を全額免除してもらえる債務整理手続です。

借金問題を抜本的に解決することができる債務整理手続ですが、世間では「自己破産」というだけで、言いようのない不安を覚えてしまう方が沢山います。
また、まるで問題のないことについても、致命的な問題が生じるような誤解がされています。

さらに、実際に問題となるリスクやデメリットについても、過剰に恐怖をあおるようなことが言われてしまいがちです。

このコラムでは、自己破産手続にまつわる誤解を解き、リスクやデメリットについて正確な内容を説明します。また、考えられる対策も紹介しますので、自己破産をお考えの方はぜひ参考にしてください。

1.自己破産について誤解されていること

自己破産手続は、裁判所に申立てをして、自らの財産を債権者に配当する代わりに、支払不能となってしまった借金の返済義務などの金銭支払義務、つまり「債務」を、原則として全額免除してもらう債務整理手続です。

自己破産手続により借金が無くなることを「免責」と言い、裁判所が免責を決定することを「免責許可決定」と呼びます。

自己破産と聞くと、全財産を没収され、周囲からは白い目で見られ、就職も出来ず、一生自己破産者の烙印を押され、悲惨な人生をたどる……という、ひたすら暗いイメージを持っている方がいます。
しかし、現実は全く違うのです。

(1) 自由財産・生活必需品は処分されない

確かに、自己破産手続では、手続開始時の財産が債権者への配当のため処分されます。

しかし、債務者の生活に必要な財産は、「自由財産」と呼ばれ、処分されません。

自宅からテレビや冷蔵庫、洗濯機まで運び出されることはないのです。

自由財産には、以下のものが含まれます。

  • 新得財産
  • 99万円以下の現金
  • 差し押さえが禁止されている動産・債権(まだ受け取っていない給料の大部分・年金など)
  • その他、生活上重要な財産(家財道具など)

また、各地の裁判所により、どのような財産がどれだけ手元に残せるかは異なります。
たとえば、東京地裁では、特定の品目について、その価値が20万円以下ならば、処分しないことにしています。

なお、処分される財産は、自己破産する本人の財産だけです。家族の財産が処分されることはありません。

【新得財産とは】
自己破産により処分される財産は、原則として、自己破産手続が始まった時に持っているものに限られます。借金免除後はもちろん、手続中のものでも、給料など手続開始後に新しく手に入れた財産が処分されることはありません。
処分されずに済む、手続開始後に手に入れた財産は、「新得財産」と呼ばれています。

(2) 周囲にバレる可能性は低い

同居している家族はともかく、それ以外の人にバレる恐れは、特別な事情が無い限りほとんどありません。
どうしてもバレてしまうような事情については、後述するリスクやデメリットの説明をご覧ください。

また、自己破産をしたことは、政府広報誌である官報で公表されます。
しかし、官報は一般の方はほとんど見ませんので、過度に心配する必要はないでしょう。

ただし、以下の者にはバレる可能性が高いです。

  • 借金相手
    これは、裁判所から通知が来るためバレます。
  • 偏頗弁済や詐害行為の相手
    偏頗弁済とは特定の債権者にだけ優先返済することをいい、詐害行為とは財産を安く売り払って配当を減らすことなどをいいます。これは、後に説明する免責不許可事由に該当し、破産管財人が「配当されるはずだった財産」として、その相手に対して財産を取り戻しにいく可能性があるためバレてしまいます。
  • 保証人(連帯保証人)
    自己破産した場合、債権者は保証人に請求する可能性があるため、バレる可能性があります。

(3) 戸籍や住民票には記録されない

戸籍や住民票に自己破産をしたことが記載されることは一切ありません。

手続を申立てたのに免責されなかった場合などには、本籍地に保管されている破産者名簿に名前が登録されます。
しかし、そのようなケースは滅多にありませんし、そもそも破産者名簿は役所の内部書類で、破産者名簿は戸籍や住民票とは関係ありません。

なお、破産者名簿に載ったからと言って、選挙権が制限されることもありません。

(4) 旅行や引っ越しが出来なくなることはない

確かに、自己破産手続中は、旅行や引っ越しに裁判所の許可が必要となる場合があります。

しかし、あくまで手続中だけです。さらに、ちゃんとした理由があれば、ほとんどの場合、すんなり許可されます。

パスポートが没収されることもありませんから、海外出張なども可能です。
もちろん、パスポートに自己破産したことが記録されることはありません。

(5) 専業主婦・無職などでも自己破産できる

専業主婦の方、無職の方、年金生活者などは、そもそも自分が自己破産をできるのかどうかが不安かもしれません。

しかし、自己破産の開始に必要な要件は、借金の支払い能力がないということで足りるので、専業主婦や無職の方でも自己破産を申し立てることは可能です。

2.自己破産の実際のリスクやデメリットとその対策

上記では、実際には全く問題ないか、あるいはあまりにも極端に問題があると考えられてしまっている誤解について説明しました。

以下では、実務上、本当に問題になりやすいリスクやデメリットについて説明します。

(1) 免責されないリスク

自己破産手続を申立てれば、必ず免責してもらえるわけではありません。
免責不許可事由という事情があると、借金が免除されないリスクが生じます。

しばしば巷で言われている、「ギャンブルしていると破産できない」「FXの損失は破産できない」などのうわさは、免責不許可事由という制度が原因です。

ギャンブルや、ギャンブル同然の信用取引による投資などは、免責不許可事由になることは確かです。
しかし、実際には、裁判所が総合判断で免責を認める「裁量免責」があるため、免責されないことは稀です。

とはいえ、免責不許可事由のリスクがあることは事実ですから、以下の3つのことに注意してください。

  1. 裁判所や破産管財人に対して、誠実な対応をして、手続に協力すること
  2. 借金してしまった反省を行動で示すこと(例えば、相談後はギャンブルをしないこと等)
  3. 他の免責不許可事由に当たる行動をしないこと

なお、ギャンブル以外でも特に問題になりがちな免責不許可事由は以下の通りです。

  • 偏頗弁済
  • 債権者を全員申告しないこと
  • 詐害行為
  • 財産を隠すこと
  • クレジットカードの現金化
  • 裁判所や破産管財人に対して嘘をつくなど、協力しないこと

(2) 財産の処分

自由財産や新得財産は処分されないとはいえ、それなりの財産を持っている方にとっては、財産の処分は大きなデメリットになります。

担保とされていない財産は裁判所に、住宅ローンの残る持ち家のように担保となっている財産は債権者に処分されます。

裁判所の許可があれば、本来処分されるはずの財産を、自由財産として扱う「自由財産の拡張」制度を利用できますが、あまり期待は出来ません。
どうしても財産を残したい場合には、財産を処分されずに借金を大幅に減額できる個人再生手続も検討しましょう。

個人再生手続では、住宅ローンの残る持ち家も維持できる可能性があります。ただし、守りたい財産以上の借金を返済しなければならないなど、債務整理の効果は自己破産に劣ります。
減額された借金の返済に失敗すれば、借金は元通りになります。

自己破産により、いったん財産を手放してでも借金を帳消しにして、またコツコツ貯蓄して生活を再建した方がよい場合も多いので、弁護士と一緒にしっかりと先の見通しを立てるようにしてください。

(3) 仕事への影響

自己破産手続をしたからといって、必ず仕事に悪影響が出るわけではありません。

ただし、あなたが以下のような一定の職についている場合は、破産手続開始決定後、免責許可決定が確定するまでの間は資格が制限されます。

弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、行政書士、宅地建物取引士などの士業、質屋、古物商、生命保険外交員、警備員
(誤解されがちですが、医師、薬剤師、国家・地方公務員(人事院の人事官など資格制限がある役職もあります)は制限されません)

とはいえ、自己破産手続中の数か月間休職すれば、「復権」により資格制限は解除されます。

(4) ブラックリスト

自己破産手続をすると、貸金業者や銀行などが融資の際の審査に利用する「信用情報機関」に登録されます。これがいわゆる「ブラックリストへの登録」です。

ブラックリストへの登録により、ローン契約や保証契約・クレジットカードの新規契約などができなくなります。

もっとも、ブラックリストは5~10年で解除されます。一生続くものではありません。また、銀行口座開設に影響が出ることもありません。

(5) アパートやスマホへの影響

自己破産をしたこと自体で、アパートから追い出されたり、スマホが利用できなくなったりすることはありません。

しかし、家賃や利用料を滞納している場合には、解約される恐れがあります。
準備期間に数か月の余裕はあるので、親族や友人等に代わりに支払ってもらえないかどうかを検討しましょう。

(6) 銀行口座への影響

口座のある銀行に借金をしていれば、裁判所の処分の前に、銀行により口座が凍結され、借金と相殺されてしまいます。

給料などの振込口座になっていれば、事前に変更してください。また、水道光熱費などの支払いが口座振替の場合は、コンビニ払いや借金をしていない金融機関からの口座振替などに変更しましょう。

安易な現金の引き出しは問題となる可能性があるので、弁護士に相談することをおすすめします。

3.借金問題を一挙に解決出来る自己破産は弁護士に相談を

自己破産手続は、世間で言われているほど、人生に致命的な問題を引き起こすものではありません。むしろ全く逆で、人生を真っ黒に塗りつぶしかねない借金問題を、一挙に解決することができる手段なのです。

リスクやデメリットが多くあることは事実ですが、全てが必ず生じるわけではありません。また、生じたとしても巷で言われているほどひどいことになることは少ないのです。

そして、弁護士のサポートがあれば、事前の対策が取れることもあります。

泉総合法律事務所では、自己破産により借金問題を解決した実績が多数ございます。是非ともお気軽にご相談ください。

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