債務整理

個人再生による家族・子どもへの影響と注意点

子どもがいる場合の個人再生の注意点

個人再生手続は、裁判所を通して、借金の返済義務などの全ての金銭支払義務、つまり「債務」の負担を、大幅に軽減することができる債務整理手続です。

借金全額を支払いきれなくなってしまった場合に、借金の一部だけを、原則3年(最長5年)で返済する再生計画を完了すれば、残る借金が免除されます。

自己破産手続のデメリットである財産の処分もなく、また、住宅ローン残高があってもマイホームを処分されないようにすることができる可能性があります。

しかし、デメリットが全くない訳ではありません。そのため、個人再生手続をすることにより、家族や子どもへの悪影響が生じてしまうのではないかと不安に思う方もいると思います。

ここでは、家族、特に子どもがいる方が個人再生手続をする場合の注意点について説明します。

1.親の有する財産による影響

(1) 住宅資金特別条項によるマイホームの処分 

個人再生手続では、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を再生計画に盛り込むことで、マイホームだけは処分されないようにすることができます。

ただし、住宅資金特別条項にはいくつかの利用条件があります。
特に、「住宅ローンにマイホームに関係ない借金が含まれていないこと」「住宅ローン以外の借金についての抵当権がないこと」という条件について、子どもがいる場合にクリアできない恐れがあります。

なぜなら、いわゆる諸費用ローンとして、住宅ローンの中に教育ローンを組み込んでしまっている場合や、事実上の教育ローンに抵当権がついてしまっていることがあるからです。

そのような場合には、住宅資金特別条項を利用できません。

(2) 自動車の処分

子どもの送り迎えなどに自動車を利用している方は多いと思います。

生活するうえの移動手段として非常に重要な自動車ですが、残念なことに、住宅資金特別条項のような制度はありません。
そのため、自動車ローンが残っている場合には、自動車ローン債権者により処分されてしまうおそれがあります。

親族に残債を返済してもらうか、手続後に中古車を手に入れましょう。

一方、自動車ローンが残っていない場合は、すでに自己の車なので処分はされません。しかし、清算価値保障の原則により、個人再生手続きにおける弁済額が増えてしまう可能性があります。

【清算価値保障の原則とは】
個人再生においては、公平性を担保するため、「債務の総額から見た民事再生法の最低弁済基準額」と「債務者の有する全財産」を比較して、後者の方が高い場合には後者を最低弁済額とします。これを清算価値保障の原則といいます。
そのため、自動車等の高価な財産があれば、債務者の有する全財産が最低弁済額になり、再生計画に基づく返済総額が大きくなってしまうのです。

2.子どもの保証人になる場合の影響

保証人は、借金をしている本人が借金を支払えなくなったときに、代わりに借金を支払う人です。

ですから、債務整理をするほど経済的に困窮してしまった人は、保証人にはなれませんし、保証人にすでになっている場合には、債権者からの請求があれば他の保証人を用意する必要があります。

個人再生手続における親子の間でも同じことです。

(1) すでに保証人になっている場合

子どもが大学の奨学金を借りている場合や、一人暮らしでアパートに住んでいる場合、親が保証人になっていることがしばしばあります。

もし保証人になっている親が個人再生をしてしまった場合、その親は保証人に足る資力を有さなくなってしまったというわけですから、債権者からの請求があれば、代わりの保証人を探すか、保証会社に保証人になってもらえないか交渉をすることになります(民法450条2項)。

これができない場合、子どもの債務にも影響が出る可能性があります。

(2) これから保証人になろうとしている場合

個人再生手続後に子どもの保証人になろうとしても、保証人になれないおそれがあります。

個人再生手続をすると、銀行や貸金業者が債務者の信用情報を共有している信用情報機関に登録されてしまいます。いわゆるブラックリストです。
ブラックリストに登録されている間は、借金をすることはおろか、保証人になることもできません。

しかし、ブラックリストの登録は永久的なものではありません。長くても10年経過すれば抹消されることがほとんどです。

近い将来、子どもが保証人を必要とする場合には、親以外の保証人を探すしかありません。

もしまだ子どもが幼いのであれば、一刻も早く個人再生手続をし、子どもが保証人を必要な時はブラックリストから抹消されている状態にしましょう。

3.学資保険

先ほどの説明のとおり、個人再生においては清算価値保障の原則が生じます。
清算価値保障の原則において問題となる債務者の有する財産の中には、たとえば、ローン金額を差し引いたマイホームや自動車、一定割合の退職金や保険の解約返戻金などが挙げられます。

特に子どもがいる場合は、学資保険を利用している方も多いことでしょう。

学資保険は、子どもの教育費のための積立金のようなものですから、他の保険と比べてもその返戻金が高額になりがちです。

再生計画に基づく返済をするために、債務者自ら学資保険を解約して、資金を捻出することになるおそれがあります。

4.離婚した子供への養育費の支払

離婚後に子供に対して養育費を支払っている場合、(養育費の支払日が個人再生手続開始決定の前か後かで取り扱いは異なりますが)結論としては個人再生をしても養育費の総額は減額されません

養育費は子どもの教育のために必要な最低限な資金のため、破産法で手厚く保護されています。よって、子どもの将来のためにも、債務整理による減額はされないのです。

(1) 個人再生手続開始決定後に支払日が来る養育費

この場合、養育費はそもそも個人再生手続の対象になりません。養育費は「共益債権(利害関係人の共同の利益として必要な費用)」にあたり、離婚に際して約束した通りに支払わなければなりません。

(2) 個人再生手続開始決定前に支払日が来ていた養育費

要するに、滞納してしまっていた養育費です。

滞納した養育費は、個人再生手続の対象にはなります。
しかし、養育費は「非減免債権」にあたり、他の借金と同じ割合の一部の金額だけを再生計画期間に従い支払うことにはなるものの、再生計画に基づく返済が終わると、残額が一括請求されてしまいます。

あらかじめ離婚相手と再生計画後も分割払いできないか交渉をし、それが無理なら、再生計画上の返済とは別に、滞納養育費の残金一括払いに備えてお金を積み立てる必要があります。

5.子どもがいる方の個人再生は弁護士に相談を

個人再生手続は、自己破産手続の様々なデメリットを回避しつつ、大きく借金の負担を軽減できる便利な手続です。
また、個人再生手続をした事実が、子どもを通じた人間関係に知れ渡ってしまうといった不安はほとんどありません。

しかし、自己破産と同じように裁判所を用いることから生じるデメリットがあり、一部とはいえ借金を返済しなければならないという負担が残ります。

保証人の問題をはじめ、子どもの養育に、そのデメリットが影響しないとは保証できません。
もっとも、弁護士の十分なサポートにより、あらかじめ大筋の予測を立てたうえで準備を怠らなければ、個人再生手続のデメリットを回避し、抑制することは可能です。

泉総合法律事務所では、個人再生により借金問題を解決した実績が多数ございます。是非ともお気軽にご相談下さい。

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